Sunday, April 3, 2011

父ありき


小津安二郎 監督
笠智衆、佐野周二、津田晴彦

小津は何故、自らの戦争体験は描かず、
生涯得ることのなかった家族の図を探求したのか。

その体験がなかったからこそ、この完璧な父親が造られたのだろうか。
正しく、慎ましく、愛情に溢れた、理想の昭和の父親像。
対する、これまた従順で、誠実で、父親想いの理想の息子。

坊主頭に象徴される戦争の影。
手塩にかけて育てた息子が戦争にとられてしまうという知らせにも
いつもの様に淡々と、でも愛情を込めて応える父親。
時代だなぁと思ってみたり。

お互いのことを想うからこそ一緒に暮らすこともできない家族がいる。
例えば、それが簡単に叶う家族だってたくさんいるわけで。
「父さんと一緒に過ごした十日間が人生で一番仕合わせだった」と呟く息子。
「私は仕合わせなだった」と語る父親。

一緒にいたからこそ得られた仕合わせと、
一緒にいなかったからこそ叶った成功、両方がある。
現代の日本社会は、得られるものだけに囚われすぎてきた。
この価値観をもっと主張できる世の中でもいいと思う。

http://book.asahi.com/review/TKY201104050139.html

Casablanca

(1942)
Michael Curtiz
Humphery Bogart, Ingrid Bergman, Paul Henreid

プロパガンダな色が強い映画。
ドイツ=悪という構図。
映画によるステレオタイプ形成の典型的な例。

Vichyの水を捨てるクローズアップが特に印象に残った。
後は、La Marseillaiseを熱唱するシーン。
スカっとはするんだけど気に入らない。

どうもこういう正統派のロマンスは苦手だ。
正しくかっこいいヒーローと、
自分の信念を貫くMrダンディーと、
二人の間で揺れるヒロイン。

でも、何人かの脇役が際立っていて楽しめる。
レジスタンスの理念が見え隠れする。

時代背景を考えながら見るとおもしろい。

君の瞳に乾杯
Here's looking at you, kid.

Modern Times

(1936)
Directed by Charles Chaplin.
Starring Charles Chaplin, Paulette Goddhard, Henry Bergman.



Le Bonheur

(1935)
Marcel L'herbier
Gaby Morlay, Charles Boyer, Michel Simon, Paulette Dubost

何を考えているのかさっぱり読めない憮然とした表情。
自分をひどく扱うという理由で彼に魅力を感じる女優。
豪華な舞台で繰り広げられるドラマ。

Nostalgia

(1983)
Directed by Andrey Tarkovskiy.
Starring Erland Josephson, Oleg Yankovskiy, Domiziana Giordano.

美しい映画。
一枚一枚が丁寧に作り込まれた写真の様。
美を切り取る目を養ってくれる。

自然ではないことが明らかだけれど、
あってもおかしくないというシーンがたくさん。
そのありえない美しさへの懐古がノスタルジア。
あくまで実現はしないものでも、
人の頭の中に生きている景色。

水の様々な使われ方。
教会の中に流れるせせらぎの奥に沈む彫刻。

絶望を表現するかのように家の中に降り注ぐ雨。
どしゃぶりの雨と緑を窓から眺める。

ぼんやりと湯煙のあがる大衆浴場。
そこにこだまする声は現実との境目の様。

時折挿入される、セピア色のフラッシュバック。

半分朽ちた大聖堂の中心に座した主人公が見つめるものは?

MICMACS A TIRE-LARIGOT

(2009)
Directed by Jean-Pierre Jeunet.
Starring Dany Boon, André Dussollier, Yolande Moreau.

アメリの監督、というイメージが強いだけに
なかなかそこから抜け出るのは難しい。

でも、アメリのかわいらしさとは違うけれど、
この監督らしい演出の連続。
アメリではこの毒々しさはメルヘンの世界に隠されていた。
そしてつながるものを感じる。

独特のユーモアと、かわいいものへのセンスが光る。
かわいい=不完全なものへの慈しみだとすると、
この監督はアニメ的な監督なのね、とちょっと飛躍。
ホームアローンの大人版?

最後の演出が笑える。

Tuesday, March 29, 2011

Los Abrazos Rotos


(2009)
Directed by Pedro Almodóvar.
Starring Penélope Cruz, Lluís Homar, Blanca Portillo.

あっさりと観ることができたところにがっかりした。
最近のアルモドバル映画は受け入れられがたい印象がだんだんとなくなってきた。

ペネロペのための映画。
ファッション、カラフル、ハイヒール。
映像の色と質感が素晴らしかった。

アルモドバル俳優が揃っていて、
Mujeres Borde Ataque Nervioへのオマージュが楽しめる。
Blanca Portilloの演技好きだな。
映画作りへの愛が込められていると思う。

破られた写真で埋め尽くされるシーン、トマトにこぼれ落ちる涙。
ハイヒールのクローズアップがアルモドバル。

Ernestoが死んだふりをしていたシーンのペネロペ無表情。
Ernestoがペネロペを突き落とした無表情。
唇の動きを読むプロフェッショナルの過度な無表情はユーモアなんだろう。

アルモドバルの世界では女の方が感情に流されやすく、周りに影響されやすく、正しい選択をしているとは限らなくても理解されやすい反応をする。そして一途。
男の方がエゴイストで、移り気で、わかりにくいな、と。