Tuesday, June 16, 2009

All the Invisible Children


(2005)
Directed by Mehdi Charef, Emir Kusturica.
With Rodrigue Ouattara, Uros Milovanovic, Dragan Zurovac.
     
STEFANO VENERUSO CIRO  イタリア
青白い影絵。
壁の向こうの見えない場所にいても、その声は追いかけてくる。
退廃的で、強がっていても力のない少年が犠牲になる
      
Spike Lee Jesus Children of America アメリカ
大人の行いが、こんなにもダイレクトに子どもに反映される。
親の責任というものは、こんなに重い。
食べるものに困っているわけではない、そんな環境だからこそ、その痛みが引き立つ作品。
        
Mehdi Charef TANZA ルワンダ
子どもだけの戦闘部隊。
村を襲撃するその姿は悪役に見える。
無垢な子どもたちが通う学校に爆弾を仕掛ける。
でも、その教室の中で安心しきった顔で目を閉じる少年。
全ての子どもが犠牲者である。
        
Emir Kusturica BLUE GYPSY ユーゴスラヴィア
コメディタッチで描かれているけど、
底深い家族の問題が隠されている。
したたかに生きることを覚えざるをえない子どもたち。
学校に行くことができず、子どもとして生きることが許されなかった彼は、
刑務所の中が唯一の子どもとして存在していられる場所だったのではないか。
          
John Woo Song Song and Little Cat 中国
同じ国に、同じ時代に生まれた二人の少女。
一人は、贅沢に囲まれて、一人は、貧困の街中に生まれた。
しかし、純粋な愛情を知ったのはどちらだったのだろう。
お互いに足りないものがある。
同じような少女が、暗く、狭い部屋の中で人形に目を輝かせるシーン。
心が痛い。
                    
Kátia Lund Bilu e João ブラジル
子どもたちにとって、これは仕事(遊び)である、と描かれているけれども、
本当にそうなのだろうか。
子どもは、どんな状況でも遊びの世界に変える力を持っている。
その力の素晴らしさを描き、悲惨さを見せない。
しかし、環境の悪さから同情したくなってしまうし、
何が幸せなのかを考える。

Jordan Scott Ridley Scott JONATHAN イギリス
戦争に行ったジャーナリストがその体験を忘れることができず、
いつの間にか子どもに戻って、
その経験を、異なる視点から追体験する。
これは、あまりわからなかった。
         
        
映画全体として、問題提起としては、良い。
けれど、ふわふわとどこか知らない国のおとぎ話として終わってしまいそうな印象があった。
だから、「それでも生きる」っていうタイトルか。
だれかが、映画は問題提起をする場所ではない、と言っていたけれど、
私はそれもありだと思う。
どの作品も幻想的で、もっと見たいと思える。
短編で、少し物足りないと思うところもあった。
もっと深くまで魅せてほしい作品がほとんど。特にCIRO

Hiroshima Mon Amour



(1959)
Directed by Alain Resnais.
With Emmanuelle Riva, Eiji Okada, Stella Dassas.
     
いくら探してもないと思ったら、邦題が「24時間の情事」
このタイトルなら惹かれなかったかも。
      
まず、原タイトルの音が好き。
"Hiroshima Mon Amour"
初めて、これを音として耳にしたときから、ずっと頭のどこかに残っていたこの響き。
      
この映画が伝えたかったことを、私がちゃんと理解したかどうかはわからないけれど、
人を好きになるなんて、こんな些細なきっかけなのかもしれない。
   
生まれた国がちがっても、
人種がちがっても、
育ってきた文化がちがっても、
そこに、目の前にいるんだから、
好きになったって不自然じゃない。
    
でも、好きって、それだけではなくて、
いろんな要素が覆いかぶさってきて、
根本の衝動的な感情だけではどうにもならなくなる。
でもそれも、好きのひとつ。
      
忘却。
彼女がヒロシマでみつけたものは、 衝動に限りなく近いもの。
まっ白い服で夜の街へ飛び出すシーンが好き。
ゆったりとした時間が流れる白黒の世界。
    
ぞくっとするほど、質感が生々しくて、 目を背けたくなるようなヒロシマと、
平和に見えるヌベールでの、彼女の心の苦しみが対比されていて、
彼女一人分の苦しみなんだけど、 どうにかなってしまいそうなくらい重くて、
過去に何万人分こんな苦しみがあって、
いまも何万人分あるんだろう。
簡単に、自分はかわいそうだなんて言ってはいけないと思った。

Une femme est une femme


(1961)
Directed by Jean-Luc Godard.
With Jean-Claude Brialy, Anna Karina, Jean-Paul Belmondo.
_
かわいいくて、ポップ。そう言わざるを得ない。
その当時の若者の風俗をとても感じさせる。
些細で、でもあるあるって思うできごとがたくさんちりばめられていて、観ていてうれしくなる。
恋は楽しい。
これが、男の人の監督によって創られたっていうのが意外なほどかわいい印象が強かった。
もうしゃべらない!って本のタイトルでけんかするシーン。

Le Mépris



(1963)
Directed by Jean-Luc Godard.
With Brigitte Bardot, Michel Piccoli, Jack Palance.
 
有名なBBを観たくて選んだ映画。
美しいけど、少し顔がこわい・・・
こういうのが、この時代の美人だったんだ。
 
愛情が醒めて、軽蔑へと変わる。
関係ないけれど、「人との関係って変わっていくものだね。」と言われたことを思い出した。
止められないに、一度変わってしまったら元にはもどらない。
哀しいけれど。

崖と海、男と女、静と動、上と下の対比が、すれ違いを表す。
照りつけるイタリアの太陽と、絵の具のように鮮やかな海。
太陽にじりじりと焼かれるBBの裸体とお尻。
映像が美しい。

壊れていく関係がじりじりと進んでいくところがもどかしくも、リアリティに溢れている。
詩的な会話。
フランス語、難しかった。


Travel


最近、知らない場所に行くことが怖くなっている。
簡単に言葉が通じて、
自分がマジョリティで、
大好きなひとたちに囲まれている時間が長すぎて、
こわい。
_
あんなにわくわくしていた感覚は、どこへ行ったのかしら?
知らないものを見たいと、
がむしゃらに色々な場所をまわった。
私は、旅行者タイプじゃないのかしら。
_
旅行に、もっと意味を与えなければいけないな、と思う。
学ぶために、歩く。
感動するために、見る。
吸収するために、聞く。
それを、何かに生かさなくてはいけない。
_
リスクがこわくて、平和な場所に留まるのも、
楽しいし、幸せだし、満たされている。
でも、だめ。
このままじゃだめ。たぶん。
がんばれー。
_
_
2年間の間に行きたいところリスト
アイスランド
ロンドンのてっちゃん
ルクセンブルグ
ドイツのクリスマス村
オランダのダーヴィッド家
ポルトガル
バスク
Huelvaのロシオ家
夏のアンダルシア
トルコ
チュニジア
セネガルのよりこを訪ねて
イェルサレムにすぐるを訪ねて
_
いまのところはこれくらいだー

American Chocolate Chip Cookies

ブラウンシュガー 3/4カップ
砂糖 1/2カップ
マーガリン、ショートニング 半々、又はマーガリンのみで1カップ
バニラエッセンス 小匙1/2
卵 1個
オールパーパスフラワー 1と3/4カップ
ベーキングソーダ(重曹) 小匙1
塩 小匙1
ブラウンシュガー 3/4カップ
刻んだナッツ 1/2カップ
チョコチップ 1カップ

1;オーブンを375F(190℃)に熱しておく。大きいボールにやわらかくした油脂類、砂糖類をいれ、ふわふわになるまで泡だて器で混ぜる。さらに、卵とバニラエッセンスも加え混ぜる。

2;オールパーパスフラワー,ベーキングソーダ、塩を加える

3;よく混ぜる
(ポイント:粉を加えてから良く混ぜるというのが常識とは違うところですが、この配合ですと重くならず、むしろグルテンを殺すぐらい混ぜることで、焼いたときにだれてクリスピーな仕上がりになる)

4;8分から10分狐色になるまで焼く。オーブンから取り出し1分ほど冷ましてからクッキーシートからはずす。

*計量はアメリカカップ240ml。しかし卵小さめ、計量スプーンでの計量を心持ち軽く、日本のバニラエッセンスは濃いので数滴、にすると日本のカップ200mlにも対応。

Selfishness


たった一本のミスコールにこんなに心が揺さぶられる。
わかっていたはず。
  
これ以上お互いの世界を共用できないのに、どうやって近づけばいいのか。
一緒に笑っているだけでは足りない。
もっと、わかり合いたい。
だけど、この環境の違いを、どんな言葉で説明できるのか。
  
恋愛を、終わらせることは、つらくて、かなしくて、心が痛くて。
でも、自ら終わらせる方が、つらいんじゃないかと思った。
相手がどれだけ傷つくかを考えると、できない。どうしても。
      
でも、相手に終わらせてほしくて、
そうしたらまた良い関係が築けるのでは、と考えるけれど、
実際にその時が来るのに怯えている。
目の前に突きつけられるのが怖い。
         
じゃあ、どうすればいいのか、わからないけれど、
その時は、前を向けるように努力しよう。と思う。
自分の世界に出ていくことをやめないように。
他にも素晴らしいことはたくさんあるから。
考えていても仕方がないこともある。
 
一緒にいた時間を、
あの優しい時間を思い出すと、
胸が締め付けられるけれど、
この先が見えない関係には、
きっとどこかに終わりがあるのだろう。

Monday, June 15, 2009

Marriage Blue


ああ、めんどくさいめんどくさい。
思っちゃいけないとはわかっているけど、めんどくさい。
手続きとか、お金とか、日程とか。ふぅ。
これまでの生活が幸せすぎて、変化を欲しなくなっている。
こんな苦労してまで、なんで変えなきゃいけないの、と思ってしまう。
それでも、きらきらしている友達をみると、どきどきするんだけどね。
これからの幸せを自分で掴み取れるように。
全てのことに心がわくわくできるように。
自分の幸せを最大限活かせるように、金曜日までは下準備+充電期間♪

Monday, June 8, 2009

EXILES


(2004)
Directed by Tony Gatlif.
With Romain Duris, Lubna Azabal, Zouhir Gacem.
整いすぎた構図が少し居心地が悪い気がしたけど、
色鮮やかで異国情緒あふれる絵と力強い音楽に誘われた。
   
主人公のふたりの、自由だけれど、どうにもならない、行き場のない気持ちが溢れていて、
うまく言葉にならない、その感情に共感した。
      
旅行中に、窓から全く知らない景色を眺めながら、
でも音楽で世界を遮断して、自分の世界に浸る瞬間が恋しい。
     
印象に残ったシーンがたくさんあって、
バイオリンと壁と埋める音
サッカー場でめちゃくちゃに踊るナイマ
海辺で奔放に戯れるふたり
廃墟で祈る兄弟
ガラスの瓶と靴音がリズムを奏でる砂浜
赤茶けた世界とみずみずしいオレンジの対比
花に囲まれたお墓とヘッドフォン
              
スーフィズムの世界は見ててぐったりしたけれど、
いつ何が起こるか分からなくて目が離せなかった。
     
美しい映像で混沌として厳しい現実が表現されてた。
ヨーロッパに向かう群衆と、逆流してアルジェに向かうふたり。
現実とか、日常ってなんなんだろうね。
夢を見て求めてその末に行きつくとこ。

Transylvania


(2006)
Directed by Tony Gatlif.
With Asia Argento, Amira Casar, Birol Ünel.
_
彼の描く女は、感情を知っている。
彼女たちを見ていると、自分には感情がないのではないかと思うくらい、
喜び、悲しみ、怒り、愛する。
自分が感じたものを全く疑わない。
細い体から溢れる生命力。
痛々しくも見えるその生き方で、捜し求めるものは何なのだろう。
異国な感じと、異様な感じ。
音楽との完璧な組み合わせ。
自分のルーツを求める。
どん底まで傷ついて、次々に皿を割りながら
弱弱しく、でも、力強く踊るシーン。
体中のタトゥーが、彼女のこれまでを表し、
その上に書き込まれた生命が、これからを表す。
夜の闇につるされたシャンデリア。
不釣り合いに華美な装飾品から放たれる真白な光と色を失った枯れ木。
美しい。
   
人間の力でできることは限られているけれど、
思っているよりも多いのかもしれない。

Vengo


(2000)
By: Tony Gatlif
With: Antonio Canales, Orestes Villasan Rodriguez

素晴らしい。
歌、踊り、アンダルシアの乾いた空気。
閉鎖的な地方の世界が、そこに生きる人々が生き生きと描かれている。

Vengo = Vengar 復讐する
しがらみの中で生きているのはどこの世界でも同じだと思う。
その中で交錯する愛情と憎しみ、喜びと悲しみ。
ふっとした瞬間に大切な人に見せる、カコの笑顔。

Galif監督作品の中でも、Transylvaniaと張るくらい好き。
監督の、友人と住み慣れた土地で撮影されたこの作品。
ひしひしと監督の愛情が伝わってくる。
フラメンコ、ヒターノ、アンダルシアの生活。
観ていて、心が締め付けられるほど愛しくなる映画。

Naci en Alamo
Arrinconamela

Wednesday, June 3, 2009

Jamon Jamon

(1992)
Directed by Bigas Luna.
With Stefania Sandrelli, Anna Galiena, Juan Diego.

この空気は大好き。
色と街なみが特別美しくはないけど、スペイン中部らしくて懐かしい。

話の展開が、これはないでしょうって思うけれど、共感できなさ過ぎてある意味すっきり。
ハモンで殴り殺してしまうなんて、唖然。
   
オウムがよくわからないけどエロスだった。
マッチョで頭の悪い男たちと、それを簡単に信じてしまう若い女。
なんだかすごく複雑で単純ね。
   
Bigas Lunaの作品は、いつも、愚かな主人公と、美しい背景と、どろどろしたエロス。
この監督は、男女の愛とか、信じてないのかも、と思ってしまう。

Klimt


(2006)
Directed by Raoul Ruiz.
With John Malkovich, Veronica Ferres, Stephen Dillane.

期待はずれ。すごく楽しみにしてたのに。
確かに、装飾は美しかったけれど、古めかしい感じがなく、セット感丸出しで薄っぺらい。
クリムトのねっとりした世界観がなかったのがすごく残念。
もっと濃い空気を期待してたから、その明るさと演技が私は気に食わなかった。
    
妖艶さも、物足りない。
    
ただ、夜の雪のシーンと金が舞うシーンは美しかった。
照明を落としたジャポニズムな部屋も素敵だった。
こんな美しい時代を生きた、画家の人生。
     
絵としては、綺麗だけれども、もっと、と思ってしまうのは、
クリムトへの憧れがあまりにも強いから。

隠し砦の三悪人


(1958)
監督;黒澤明
三船敏郎 志村喬 上原美佐 藤田進
  
気持ちのいいラスト。
観た後にすっきりとした後味の娯楽作品。
「裏切り御免。」と叫ぶ田所兵衛がいい。

三船の豪快さと、生き生きとした魅力が溢れた作品。
凛とした雪姫も美しい。
貪欲でどうしようもないけれども、憎めない二人の百姓。
    
この時代に生きている人をよく表しているのかな。
ちゃんばらシーンはどきどきして好きではないけど、侍美学、素敵だなぁ。

Tuesday, June 2, 2009

Affectionate


愛情。
自分が思っていることは、相手にも伝わる。
それで、関係がうまくいったり、ぎすぎすしたりする。
なかなかできないけど、常に100%の愛情で、人に接したい。
言葉ではなくて、伝わっていくから。と、反省した一日。

それにしても、私はsweetsを買ってきてくれる人に弱い。
自分がいないところで、自分のことを考えて何かをしてくれたっていうのがうれしいんだと思う。
たーっぷり愛情をかけてくれたら、私も十分にお返しするのに、と思うのは甘くて、
大好きな人たちには、自分からたーーーーっぷりと愛情をかけましょう。

これから、まだまだたくさんの人たちに会う。
そのことに、どきどきわくわくしている反面、とても不安を感じたりする。
いま、周りにいる人たちが素敵すぎて、大好きすぎて、こんな人にもっと会えるのかな?
でも、先のことばかり考えて、周りの人を大切にしないのはもったいない。ね。

3/June/2009 After OKADA

La Puta y La Ballena


(2004) Argentina
Directed by Luis Puenzo.
With Leonardo Sbaraglia, Aitana Sánchez-Gijón, Pep Munné.

哀愁漂うバンドネオンの音と、官能的なアルゼンチンタンゴ。
哀しみを湛えた、美しい映像に監督の美学が込められている。
現在と過去が交錯し、一つの世界になっている映画の中。

女性の強さと、哀しさ。
強い”女”になろうと思った。
”女”としての強く生きることは、男性とはきっと違うから。
したたかに、たくましく、美しく生きるこの映画の女性たちは美しい。
    
アルゼンチンの自然の映像が美しくて、未知なる世界への旅に憧れた。
       
打ち上げられて、どこへも行けない鯨が、それでも誇り高くその場に存在することが、
自由がなくても、誇り高く生きている女性を連想させた。
どんな制限があったとしても、自分の運命は自分で決める。

Karamazovi


(2008) Czech
Directed by Petr Zelenka.
With Martin Mysicka.
       
EUフィルムデーズ2009
カラマーゾフ兄弟HP
           
ポーランドの鉄工所を舞台にしたオルタナティブ・フェスティバル(演劇祭)。
観客の生活の場に芸術を組み込むことで、身近に感じてもらおうというプロジェクトは、
教養ある企画者が考えそうなこと。
しかし、あくまで生活の場であるその場所では何が起こるか分からない。
そして、その場所で起こったことは、全てが現実。
         
なぜ、子どもがその場にいたのかはわからないけれども、
「こんな企画さえはじめなければ。」という台詞からも、何か関わりがあったんだろう。
         
芸術を広く市民に、と上が言ったところで、その効果は実際に試してみるまで分からない。
子どもを亡くした父親は、日常に突然入り込んできた演劇を、真摯に受け止めた。
もしかすると、これが、彼の初めて観る演劇だったのかもしれない。
現実と、芝居の差があいまいになる空間。
         
暗い鉄工所の中、吊るされた鉤と、飛び散る火花が地獄を連想させる。
その中でも、ステンドグラスから入るほのかな光。
緑溢れる庭が現実世界に引き戻してくれるけれど、境はあくまであいまいなまま。
         
工場のガレージが開いて、影絵のように役者が並ぶシーンが印象的だった。
悲しみを背負った黒髪の女の人が、賛美歌で劇を終えるのは、それでも消えない希望なのかな。