Directed by Andrés Wood.
With Tamara Acosta, Matías Quer, Alfredo Ahumada.
1973年のSantiago de Chile
裕福な家庭の少年たちが通う私立学校。
そこに貧困層の少年たちが連れてこられる。
彼らを兄弟のように受け入れなさいと。
戸惑う子供たち。
それまで”見たことのない”世界が自分のテリトリーに入ってきたのだから。
しかし、次第に距離が近づくGonzaloとMachuca。
自分にはない環境を新鮮に感じ、仲良くなっていく。
親たちの集まる礼拝堂。
富裕層と貧困層の対立が強調される。
こんなに近くにいるのに届かない。
Machucaの母親の言葉が胸にしみる。
世界は変わらない。弱者はいつまでも弱者であると。
貧困の輪を思い出した。
それに対するGonzaloの母親。
子供たちをりんごとなしに例えてちがいを強調。
それに対して父親が「ちがうからこそ一緒にするんだ」というけれど、
人間が”ちがう”という時点で奢りだと思った。
MachucaとGonzaloの何がちがうかと言えば、環境。それだけ。
信念に基づき、ばからしく見えることもあっても、少年たちの教育に全てをかけたPadré McEnore。
"Este ya no es un lugar sagrado." "El Señor ya no está aquí"と、火を消すシーン。
涙を流し続けながら聖体をむしゃむしゃと食べきる。
だけど、彼の伝えたかったことは少年たちに伝わっていると思う。
何も感じていないように見えるGaston少年の中にも。
それがこの先の行動に表れなかったとしても。
それぞれが家族に対して悩みや問題を抱えている。
自分の、家族の幸せ。
それが踏みにじられる。
人間が、人間として扱われない。
その痛みは政治家たち、兵士たちには届かないのか。
ナショナリスタのデモに参加する富裕層。
他人の痛みを感じることはないのだろうか。
気がついていないのだろうか。
同じ時代、同じ場所、同じ年齢の少年が経験する大きな違い。
Mira me!と叫ぶだけで助かるGonzaloとどうしようもできないMachuca。
国際的な反応もFIFAの表面的な調査による判断で隠されてしまう。
壁の落書きNo a la guerra civil!がA la guerra civil!に変わり、全ては闇の中へ。