Thursday, September 10, 2009

薬指の標本

監督;Diane Bertrand
原題;L'annulair

感覚に訴えてくる映画。
音と質感の表現が圧倒的。

ぞくってするほど、感覚が伝わってくる。

青に金の蝶が舞う冷たいタイル。
深い赤のエナメルの靴を履かせる仕草。
透きとおった風に揺れるドレス。
優雅に、気が狂ったように揺れるブランコ。
亡霊のように雨の窓に映る二人。

「私はあなたに囚われていたかった。
 この靴を履いたまま。」

本がすき。
小川祥子の日本語がすき。

警告に対して、どこにも行きたくないと答える彼女。
捕われていることが心地良いという感覚。
自由であることが、自分で全てを決めれることが重荷。
分かる気がした。

決められた生活。
決められた順序。

ないものねだりなのだろうと思う。
自由がなければそれを欲する。
自由であれば不安になる。

日本文化に基づく感覚かと思えば、
映画化した監督はフランス人。
不思議だ。