(1997)
Directed by Tony Gatlif.
Directed by Tony Gatlif.
With Romain Duris, Rona Hartner, Izidor Serban.
「愚かなよそ者」
Exileを思い出す始まり方。
アイデンティティを自分の奥深くに求める。
ぐるぐるとまわる世界と、一人の人間のか細さ。
最後のカセットを埋めるシーンは、
音楽がロマの生活に結びついていることに気が付いたからか。
彼は、自分が父親のカセットに出会ってよかったと思わなかったのかな。
それとも、自分がそれまで生きてきた文明社会の否定?
ただレコードから流れてくる録音ではなくて、
その場で喜びを、悲しみを込めて歌う音楽。
ロマという生き方と、外にいる人間。
憎悪に近い偏見や敵意。
同じ場所に住み、言葉で意志の疎通が可能な人間の間にこんな憎しみが存在する現実が、
ここにもある。
言葉を、人種を、民族を超えた人間同士の関係。
同じ人間同士だと思えばその気持ちを汲むことが可能なはずなのに。
必要なのは、ほんの少しの人間同士のふれあいときっかけ。
ロマへの愛情がひしひしと伝わってくる。
彼らの生活を温かくみつめる視点。
どんな人間にも共通するものがあると思う。